PIDの特徴
・検出対象:芳香族化合物や炭素-炭素間に二重結合がある化合物
・検出下限:約10ppb
・複数のEPAメソッドでの推奨検出器。
(FIDよりも選択性が高いため。)

PID

BTEX等分析時のクロマトグラム
SRI社のPID(光イオン化検出器)は、業界標準の10.6eV PIDランプをスプリング式マウントに搭載しており、工具を使うことなく、容易にランプの取り外し・清掃・再装着が可能です。
PIDの使用は、EPAの複数の分析法(8021、TO-14など)で推奨されており、その高い感度と選択性が評価されています。芳香族化合物に対する検出限界はピコグラム(ppb)レベルに達します。また、PIDは非破壊型検出器であるためFID/DELCDなどの他の検出器と直列で接続することが可能であり、その場合は1回の注入から複数のクロマトグラムを得ることができます。
また、PIDはキャリアガスとして空気を使用することも可能で、ガス供給が困難な環境や、化合物の分離を伴わないストリームモニタリング用途などに有用です。
尚、他社のPIDと異なり、SRI社のPIDは工具なしで簡単にランプを取り外すことができ、定期的にランプ窓を清掃してカラムブリードによる干渉を防ぐことが可能です。SRI社のPIDでは、ランプの本体ではなくランプ窓のみが加熱されるため、ランプは数年間使用できる耐久性を持っています。
SRI社のPIDは、業界標準のUVランプを低容量のフロースルーセルに搭載した構造であり、検出器温度は室温から250°Cまで調整可能です。10.6eVのUVランプは120nmの波長でエネルギーを発し、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの多くの芳香族化合物、および硫化水素、ヘキサン、エタノールなど、イオン化エネルギーが10.6eV未満の多くの分子をイオン化し、検出することができます。(逆に言えば、10.6eVを超えるイオン化エネルギーを持つメタノールや水などはPIDでは検出されません。)
上記のPIDクロマトグラムは、内径0.53mm・長さ15メートルのキャピラリーカラムとヘリウムキャリアガスを用いて、100ppmのBTEX、TCE、PCE、ブロモベンゼン混合試料を分析した例です。