HIDの特徴
・検出対象:ヘリウム、ネオン以外の分子

・検出下限:約10ppm (検出上限:約1%)

・TCD検出器に対する補完性が高い
 (検出感度の観点からTCDとの連結を推奨)

HID

BTEX等分析時のクロマトグラム

ヘリウムイオン化検出器(HID)はヘリウム・ネオンを除くすべての分子に応答する守備範囲の広い検出器です。特に、NOₓ、CO、CO₂、O₂、N₂、H₂など、FIDや他の検出器では応答しない揮発性無機化合物の検出に有用です。また、FIDとは異なり水素を必要としないため、水素ガスの貯蔵を安全上の理由で避けたいラボにとって、HIDは有効な選択肢の一つになります。(キャリアガス兼メイクアップガスとしてヘリウムが必要です。)

尚、HIDはTCDに対して補完性の高い検出器です。TCDは%オーダーの検出には効果的ですが、ppmオーダーの検出に関しては感度が不十分になることがあります。一方で、HIDは10ppm程度の検出が可能ですが、%オーダーの濃いサンプルの検出は不得意としています。この両検出器を直列につなぐことで、10ppmから100%までの幅広い濃度範囲のカバーが可能になります。

他社のHID設計とは異なり、SRI社製HIDは分解・清掃が容易です。また、SRI社のHIDには低電流アークが見える窓が設けられており、検出器の正常動作を目視で確認しやすくなっています。

上記のクロマトグラムは、HIDを用いて100ppmのBTEX、TCE、PCE、ブロモベンゼン混合試料を分析した例です。